光に関するエトセトラ

はじめに

仕事でLED照明を扱うことになったので,基礎の基礎知識をおさらいしたい.
とりあえずは「明るさは工学的にどう定義されるのか?」である.

明るさの定義

あるLED電球から光が照射され,その光が地面に当たって照らしている. そんな状況を考え,その「明るさ」を何かしらの数字であらわしたいと考える.
(でないと,仕様書に「~~以上の明るさのライトを選定してください」と言えないしね.)
まず最初に考えられるのは,ライトが発する総光線数であろう.
これが低いライトではそもそも周囲を照らしようがない.

ただ,この数値だけで照明の性質を全て表現できるかと言えばさにあらず.
同じライトを使っても,全方位に照らすのとミラー等を使って収束させ一方向に照らすのとでは明るさは異なるだろう.
となると,もう一つの数値として任意の空間を貫く光線の数というのも重要な物理量だ.
ちょうどこの辺の考え方は電気力線の考え方と同じではないかと思う.

じゃあこの二つで十分なのか?と言われるとさらにそうではないはず.
実際にライトで照らされたモノがどの程度の明るさを持っているのかを考える必要がある.
当然,同じ光源・同じ収束率で照射される照明であっても,
その当たる面が雪原のような物質なのか,あるいは黒体のような物質なのかで明るさは変わる.
よって,光が当たった面の明るさというのも重要な評価ファクターだろう.

さて,ここまで考えると明るさというものを一種の電気力線として考えればいいように思えてくる.
対応は以下の通りだ.

電荷ライトが発する総光線数
電気力線の本数:任意の空間を貫く光線の数
静電気力:光が当たった面の明るさ(どのような物質に照射されるかに依存するため)
である.さらに,電気力線の本数を単位面積で割ったもの(つまり電気力線の密度≒電束密度) 電束密度光線密度

といった考えができるだろう.

光の単位系では,それぞれを ライトが発する総光線数:ルーメン
任意の空間を貫く光線の数:カンデラ 単位面積あたりの光線密度:ルクス
と言うらしい.

設計にはどう使うの?

じゃあ設計時に気にしなきゃいけない値は?というと,おそらくカンデラであろう.
まずルクスは当てにならない.単位面積当たりの光線密度なのだから,
同じ照明でも近くを照らせば高く,遠くを照らせば低く値が出てしまう.
測定環境を限定した上での数値基準を設けるのであれば良いのだが.

次に気にしなくて良いのはルーメンであろう.
スポットライトのように,特定の方向に光を収束させるものであれば,
たとえルーメンが小さい値であっても,照らされた面は明るくなる.
ただ,同じ構造なら当然ルーメンが大きいほうが明るくなるのは必然である.
特定の方向(つまり自分が使いたい方向)にどの程度の強さの光が出ているのか?
という感覚で考えると,カンデラが一番わかりやすいだろう.

よって,設計の手順としては

  • まず,光を照射させたい範囲(むしろ方向)を考える
  • その方向において,特定の距離でどの程度の明るさが欲しいのかを考える
  • その明るさを実現できるカンデラを考える
  • その方向にそのカンデラの光を与える光源と構造を考える

とするのが良いはずだ.あるいは,この逆に考えて

  • まず照明のルーメンを決定する
  • 次に,照射範囲を決定し,カンデラを計算する
  • 最後に,想定する状況(光源との距離)下におけるルクスを計算し,どの程度明るいか見積もる

でも良いかもしれない.

計算に関しては諸々面倒なので以下のサイトが使いやすそうである.

http://tomari.org/main/java/hikari.html

それでは,また.